不確実性の高い世界情勢で再認識すべきカントリーリスクを解説。定義・事例・対策方法まで丸わかり
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記事更新日:2021/08/27
こんにちは。マルチブック編集部です。
今回は、「カントリーリスク」について解説します。
多くの日本企業も打撃を受けたミャンマークーデターでは、改めてカントリーリスクを認識することの重要性に気づかされた気がします。そこで、企業が不確実性の高い海外の国とビジネスを行う際には欠かせない視点でもある「カントリーリスク」について、日本企業の海外展開をサポートするマルチブックが分かりやすく解説していきたいと思います。
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目次
カントリーリスクとは?カントリーリスクの定義
カントリーリスクの定義に関して、日本の代表的な格付け機関でもある格付投資情報センター(R&I)によると、以下のように定義されています。
「海外投融資や貿易を行う際、個別事業・取引の相手方がもつリスクとは別に、相手国・地域の政治・社会・経済等の環境変化に起因して、当初見込んでいた収益を損なう、又は予期せず損失が発生する危険」
つまり、カントリーリスクは、投資対象国の政治・社会・経済等における情勢の変化によって収益を損なう危険度を示しており、各国の信用リスクを表しています。
カントリーリスクの要因・事例
カントリーリスクの代表的な要因は大きく4つのパターンに分類されます。ここでは、過去の事例も挙げながら説明します。
政治情勢のリスク
政治基盤の不安定さがビジネスに影響をもたらすリスクです。政権交代による内政の変化・軍によるクーデター・反政府暴動・格付け機関による格下げ等があてはまります。
【事例】
・ミャンマーの民政化(2011年)
・タイの軍事クーデター(2014年)
・トルコの外貨建長期信用格付の格下げ(2018年)
・ミャンマークーデター(2021年)
経済情勢のリスク
経済的な不安定さがビジネスに影響をもたらすリスクです。急激なインフレ・通貨の急落・国債の債務不履行等があてはまります。
【事例】
・アジア通貨危機(1997年)
・ジンバブエのハイパーインフレ(2009年)
・ギリシャ経済危機(2009年)
社会情勢のリスク
国特有の文化・宗教・歴史等といった社会的な事情がビジネスに影響をもたらすリスクです。戦争・テロ・暴動などが起きる可能性があります。
【事例】
・中国での反日運動(2012年)
・ヨーロッパ各地でのテロ
自然災害のリスク
地震・津波・洪水・台風等、自然がもたらす不可避な災害がビジネスに影響をもたらすリスクです。
【事例】
・ハイチ地震(2010年)
・タイの大洪水(2011年)
カントリーリスクの認識
投資対象国のカントリーリスクに晒された際、物理的に遠い現地との情報交換が途絶え、十分な情報が取れずに企業が対応に大きく遅れをとることもあり得ます。企業の海外投資・海外進出において、不確実性の高いカントリーリスクについて事前に可能な限り情報を整えておくことは大変重要となります。
カントリーリスクの情報収集方法としてはメディア・現地に精通している人・専門の調査会社等、様々な情報源からの収集方法があります。しかし、前述のように、カントリーリスクは政治・経済・社会・自然等、あらゆる要員があるため、正確な情報を把握するためにも、複数の情報源から情報を収集していく必要があるでしょう。
専門の調査会社や格付け機関等は、カントリーリスクに関して具体的な数値や危険度などの指標をまとめ、公表しています。OECD(経済協力開発機構)では、各国の情勢に基づき、各国のカントリーリスクを0から7の数字で評価した表を公表しています。また、日本貿易保険は、OECDの評価を基に各国・地域のリスクカテゴリー表をHP上で公開しています。
参照:
OECDホームページ
日本貿易保険ホームページ
カントリーリスクへの対策
カントリーリスクを認識したうえで、企業はそれらに対して柔軟に対応していくことが求められます。
そのためには、想定されるリスクに関していざという時に迅速に対応できるよう、様々なシナリオやその対応策を考えておく必要があります。リスクに晒された際に自社の事業・商品・サービスに何が/どのような形で/どれ程の規模や確率で/影響してくるのか、また、その時企業として、事業戦略の転換や事業撤退をするか否かなどどのような意思決定をとるのか、あらゆるパターンをシミュレーションしておくことが肝心となるでしょう。
また、リスクの分散を図っておくことも重要です。特定の国にのみ集中して投資を行っていた場合にはその国のカントリーリスクにより、大きな影響を受けてしまう可能性があるため、製品の生産拠点を複数設ける等リスクを分散させることでカントリーリスクを軽減しておくことが重要です。
近年では、2020年末に共同通信社が、海外流出を防ぐ必要がある重要技術を持つと、国が認定した日本企業96社に対して行ったアンケートで、約4割超の企業が中国から周辺国にサプライチェーンを分散化する動きを進めていることが分かりました。更に、2021年3月30日にインドネシアと日本の両政府が開いた外務・防衛担当閣僚協議で、脱中国に向けたサプライチェーンの分散化のために、日本企業のインドネシアへの投資を後押しすることを確認したりするなど、多くの日本企業が拠点を置く中国でのリスクを緩和するために、東南アジア地域など周辺国に拠点を分散化する動きも見られてきました。
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参照:
共同通信 上場企業、脱「中国依存」4割超 供給網、周辺国へ分散
日本経済新聞 「脱中国」へ供給網分散で協調 日インドネシア2プラス2 防衛装備品輸出で署名(2021年3月31日)
クラウドシステム活用によるリスクマネジメント
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今回は、多くの日本企業様の認識や対策が求められる「カントリーリスク」について、定義から事例、対策などをまとめました。海外でビジネスを行う際には、カントリーリスクに見舞われる可能性を考慮したうえで、急ぎではないが優先度の高い仕事として適切なリスクマネジメントを行っていく必要があるでしょう。
クラウドシステムの活用で海外拠点の経営情報をリアルタイムに見える化することで、不確実性の高いカントリーリスクが自社のビジネスに対してどれほどのインパクトを与えているのかを常に可視化しておくことも大切な対策方法です。更に、BCP(※)対策の観点からもクラウド型ではなくオンプレミス型のシステムをご利用の際には、インフラが日本ほど整備されていない東南アジア等の地域では、洪水や停電が発生した際には自社で管理しているサーバーへとアクセスが出来なくなってしまうリスクも潜んでおります。
※BCP:事業継続計画(Business Continuity Planの略)
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