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全海外拠点でのデータドリブン経営を実現するための方法

記事更新日:2021/10/07

全海外拠点でのデータドリブン経営を実現するための方法

こんにちは。マルチブック編集部です。

今回は、2021年9月14日に開催された株式会社電算システム主催「新生電算システムグループの目指すもの」において、株式会社マルチブックの代表取締役CEOの渡部が登壇しました。マルチブックが素早い導入にこだわる理由、日本企業のデータドリブン経営を行うための準備について講演した内容をレポートします。

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はじめに

皆さんこんにちは。株式会社マルチブックで代表取締役を務めます、渡部と申します。本日はこのような虎ノ門ヒルズの素晴らしい会場でのセミナーにお招きいただきありがとうございます。コロナの影響で会場での多くのお客様と会えるオフラインでの実施はかないませんでしたが、オンライン環境での実施を電算システムの皆さんに尽力いただけたおかげでたくさんの方が視聴できていることは良かったなと思います。またそのおかげもあり本日のセミナーは、経営者から海外の担当者の方まで非常に幅広く参加していると聞いておりますので参加者の方に少しでもお役立ちとなる話にしたいと思います。

会社紹介と自己紹介

本日のテーマに際して、先ず会社の紹介、そして自己紹介をさせてください。弊社は創業から20年を数えつい先日まではSAPコンサルティング事業を事業の柱として行っておりました。この事業において弊社の特長は、海外から日本に進出する企業、あるいは日本から海外に出る企業がSAPシステムをそれぞれの国で利用できるように導入を支援することを行っていました。この事業活動を続けるなかで長らく、海外の中小拠点にも大型ERPであるSAPシステムを入れることは、システム投資として果たしてお客さんのためになっているのか?という疑問から立ち上げたのがこのクラウド会計・ERPサービス「multibook」でありそれが現在の社名になっております。このクラウドサービス「multibook」は5年ほど前にクラウド事業として産声をあげ、今では200社をこえるお客様に導入いただき、その利用される拠点数は25か国を超えるまでに成長してきました。

このmultibook事業の成長を強固にするため、SAP事業を去る7月1日をもってフランスキャップジェミニ株式会社に会社分割により移転させ、新生マルチブックはクラウド会計・ERP事業一本のSaaS企業に生まれ変わりました。このタイミングで私自身も当社のCFOからCEOとなり事業を推進する役割を担うことになりました。

私自身についても簡単に紹介させていただきます。私はこれまで財務経理部門、情報システム、シェアードサービス、人事などの分野を日系企業、外資系企業で経験してきました。特に情報システムにおいては、日本ではSAPシステム、ネットスイートの導入、アジアではオラクルEBS、A.S.I.A.(現在のMC Frame GA)システムの導入をリードする役割を担いました。いわゆる大型ERPの導入においては多くのご縁をいただきました。正直に申し上げて、ERP導入は本当に疲れるのであまりラッキーとは言えないのですが(笑)。振り返ればERPを導入し活用する側の経験が結構長い経歴となります。

また、買収後の統合作業であるPMIを4回(買収後の統合)、APAC7法人のコントローラーなどを行っており、これら企業のカオスとなるフェーズに放り込まれることがしばしば。さらにこれを機会にレポートラインである上司の国籍を数えてみると8か国(日本、ドイツ、アメリカ、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、中国)にもなりかなりクロスカルチャーな土壌で働いてきていることを実感します。これらの経験は、先の登壇で参考として使われたエリンメイヤー著書「異文化理解力」からの内容にもあったように、ローコンテクストからハイコンテクストの文化対応をしてきたとも言えます。

本日,この公演を視聴いただいている方の立場は、ここで掲げたタイトル「multibookメソッドの最速導入で全海外拠点でのデータドリブン経営を実現する」を見て聞いていただいていると想像すると、海外の拠点にシステムを導入中、あるいは検討しているという方海外とデータドリブン経営ってどうやるの?に課題感をお持ちの方、あるいはマルチブックってどんな一体どんな会社か聞いといてやろうとお考えいただいている方でしょうか。今回このような方々に対し、オンラインで参加対象が広く時間も30分程度ということを考慮して、今日はごくごく当たり前と感じてもらえるかもしれませんが改めて“システム導入以前” のことを「グループ経営のDX化への課題」として多めにお話ししたいと思います。

グループ経営のDX化への課題

さて、グループ経営の時代に入り、海外も含めたグループでデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性について検討されている方も多いかと思います。ただ実際にはまだまだ進んでいない。あるいは進んでいても難しくなりがち。今時全拠点にシステム導入するっていうのはわかるけども、ERP導入って時間もお金もかかるというのが本音ではないでしょうか。しかしながらこれらに見て見ぬふりの“見えない経営”の放置はもはや許されないようにおもいませんか? 一方で海外経営ならではの課題感もあり、それは概ね次の3つに集約されるのではないでしょうか?

1、海外拠点からの報告が遅く、経営状況把握に時間がかかる…

2、海外拠点毎にITシステムが構築され様式がバラバラで横断的なデータ活用ができない…

3、全ての海外拠点に対して、高額なシステム投資はできない…

先ずは、エクセルやメールベースのコミュニケーションが中心で、会計は外部の事務所に丸投げしている場合がこれに該当します。毎月財務情報の取得に平均3週間から1か月以上も時間がかかるのが常です。しかも単純な会計情報であり勘定科目レベルになります。そこで課題をつかみ、さらに問い合わせや分析を依頼していたのでは2か月、3か月と実態の把握に長い時間を要しています。

次に経理は自社で行っているのですが、現地の人にとって馴染みの日本でいう弥生会計や勘定奉行などのシステムを使わせてしまった場合に起こりがちなのは、レポート様式が国毎にバラバラで、エクセルで集めていればまだしもPDFだったり、紙だけの提供だったりして、勘定コード体系も違うため横串を入れての比較ができないパータンです。これだと本社がチェックを入れられないことに加えて、シンガポールやオランダでアジアパシフィックや欧州の地域統括を持っている会社であれば彼らには目隠ししたままのグループ経営を強いてしまっている状況です。これでは一体なにを統括しているのかさっぱりわからないですよね。

最後に、コストの問題です。これは期間とセットで考えることなのですが、単に額面上の課題に加えて中小拠点までいれると2年後、3年後の導入計画となっている大型ERP導入でさけられない時間コストの二重のコスト高があちこちで発生しています。

マルチブックなら課題を解決

実は、これらってmultibookを使っていただければすぐに解決しますよ!というのが今日の宣伝めいた話です。しかしながら今日は宣伝をあまり前面に出しすぎると皆さん退屈になってしまうかもしれないと思いますので少し端折ります。

例えば経営状況を見るための複数の海外拠点を一つにまとめるダッシュボード機能や、違う言語をもつ複数拠点をまとめて英語や日本語に統合したグループ財務諸表をエクセルにダウンロードもできます。しかもリアルタイムです! ツールを統合してしまえば当然ながら、これまでバラバラでおこなっていた海外拠点の会計情報が統合され、事業予測の精度が高まります。またグループでのシェアードサービス導入や海外管理を行える人材の流動化が容易になり、国境を越えて図ることで経営効率が高まります。しかもクラウドですからIT部門の負担もありません。私がおすすめするのは、導入するお客様と一緒に機能対応する国と地域が増え、様々な課題を解決した最新の機能を享受できるということ。これはマルチテナントで提供しているからこそのシステムですので、オンプレで行っているとそう簡単にはいきませんよね。はっきり言って「multibookでこの課題は解決可能です!ということだけ覚えておいてください(笑)」「すみませんここまでが宣伝でした!」。

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導入費用の高額になる原因は導入支援期間の長さ

ここでは、すこしコストに目を向けておきたいと思います。導入コストの観点では、導入支援費用と呼ばれる項目に着目してほしいと思っています。はっきり言ってしまえば、これはSIer(導入支援をする企業)の稼ぎの源泉になっています。彼らの価格の計算の仕方はシンプルで導入作業者(コンサルタント)の月当たりの単価x作業期間(人月)で計算されます。優秀なコンサルタントほど単価が高いのでこの単価を減らすと、経験の少なく応用効かない人ばかりで構成されてしまい企業にとって得策ではありません。しかし期間についてはしっかりと経営は関与すべきことがらだと思います。長くなってしまう理由はいくつかあるかと思いますが、経営が現場の都合を“許し”た業務プロセス、つまりそれは“変化を嫌う”人の都合を許した結果として新たな機能を開発することにつながったからです。新しくもない旧態依然の方法を続けさせるために、優秀なコンサルタントを使って要件定義、設計、開発、テストのプロセスを行わせ長い期間を費やすことになっているのです。

この導入期間の長さ、つまりコストは、まさに経営が現場に丸投げしてしまった結果の産物と言えるのではないでしょうか。我々のmmultibookシステムに限らず多くのパッケージソフトはそれなりの経験に基づくプラクティスを実装しています。ましてクラウドでマルチテナント型のシステムサービスを提供するmultibookサービスであれば、導入時には足らないと感じていたオペレーションも、頻繁に行われるアップデートのタイミングで使えるようになっていきます。しかもmultibookは機能の更新を毎月行っているのが強みです。

この期間に起因するコストは、本日視聴いただいている経営やIT導入の決定に携わる人こそが関与して積極的なコストマネジメントを行ってほしいと思います。当然ながら、導入に時間をかけるということは、その時間だけシステムを用いた意思決定の仕組みを組織を効率化を遅らせているということです。まずは速やかに導入できる拠点については導入し、データを活用した経営の実行に多くの資源を割くことが必要ではないでしょうか。

DXその前に、ビジネス・コミュニケーションの設計

ここまで、当社の提供するサービスやIT導入課題のうち導入支援費用の課題についてお話をしてきました。しかしながら過去クロスカルチャー、クロスボーダーの仕事をしてきた私にとってIT の導入はマストではありますが、それよりも大事なことがあります。それは「コミュニケーションの仕組み」作りです。

皆さんの会社やグループ間では “数字を使って語る”時間を取っていますか? すなわち数字が相互に確認され、その数字に基づいて経営状況の把握を行う意識が会社にあり、それが具体的に体現されているか?という点です。意外にも多くの企業でこういった取り組みがないがしろにされてしまい、そもそものコミュニケーションをとる文化が不足していることが原因となりDXが遅れてしまっているのではないでしょうか。今この瞬間においてはDXが目的となっても手段となっても良いかと思います。しかしながらあくまでもDXの取組の遅れは実は、こういった本来必要性を生み出すコミュニケーション不足からくる意識の遅れが原因と感じることが多くあります。言葉の壁? 意識の壁? など日本企業は外資系企業に比較してまだまだ基本的なコミュニケーション設計が足りていないと思います。その場合私がおすすめしているのは例えば、“Recurring Call”として週次で30分でも定例会議を設定して事業の状況をしっかり把握する時間をもつことです。この設定された短い時間の中で効率的な会議を行うためには、定量的な準備とコミュニケーションが欠かせません。この鍛錬を“繰り返し”行うことで会議の質、経営の質が向上していきます。こういった点をおろそかにして“放置経営”をしている企業であればそれはデータドリブン「以前」で止まってしまっています。しかも相手がローコンテクストの国の人でこういった運営に慣れ親しんだ環境であれば、きっと日本企業の経営に不信感を抱かれるかもしれません。

この運営を行うと最初は実績ベースの過去の話が中心になっていると思います。相互に事業の状況把握が適切に行われていくに従いこの会議における会話が将来の予測が中心に話が展開されていき、気が付けば過去のこと2割,将来8割位の比率になってくることを期待します。この将来というのはすなわちフォーキャストです。さらに深まってくるとこのフォーキャストの精度が見えてきます。是非精度を上げることにも取り組んでみてください。そこが高まれば常に先に向かっての打ち手を練り上げることができるようになり組織グループの関係が良好なものになっていくと思います。

このことは、今まで月末に決算を締めて翌月の中旬になってから前月の状況を把握していた状態から、今月の中旬には当月末の数字が見えていてさらには翌月、よく四半期へと視線と会話が先々のことに変わってくることを期待しています。

先ずは、定期定常の30minミーティングを設定しましょう。これが実は本日一番言いたいデータドリブン経営をする一丁目一番地なのです。

おわりに

時間も終わりに近くなってきたのでまとめます。最初にITと組織のシステム整備について述べました。海外経営は、そこで働く人々のローコンテクスト、ハイコンテクストの特徴を考慮した多様性からも数字での管理が大前提となります。現地も本社スタッフもしっかりと事業の「今」をつかめる体制を構築し経営状況の把握に努めましょう。

次に経営は導入期間の決定にしっかり関与しましょうと伝えました。システム導入のコストのほとんどはSIと呼ばれる期間で値段が決まる導入支援コストです。人月単価x導入期間で決まるため経営は期間の決定を現場任せにしてはいけません。しっかりと期間の長期化する理由を明確にして、できるだけ早く導入を行うことを経営がしっかりと現場に意識付けさせましょう。実は現場も決められないことが多くて困っていることが多いのです。導入の期間とその内訳をしっかり確認することで大きな会社では何億円もの金額が浮くことは容易に想像できます。

最後に、数字のコミュニケーションすなわち定期定常会議の設計について述べました。DX以前に優先度の高い海外戦略の実行は定量効果で計るべき、そして特に外国人との共通言語である数字で会話すべきだということに言及してきました。その会話の方法としてRecuring Callを設定し、会話の質を実績ベースの会話から予測ベースの会話へシフトしていきましょうということを提案してきました。日本企業の利益や利益率が低いと言われ続けて久しいです。その原因にはこういった取り組みをおろそかにしていることにあるのではないでしょうか。できればmultibookサービスを使い、高い利益率・高収益企業をつくることを実現してもらいたいなと思っています。

本日はご清聴ありがとうございました。日本企業のDXを成功させましょう!

世界25カ国、200社以上で利用されており、グローバルでのご利用が可能なクラウド型会計・ERPサービス「multibook」では、海外拠点の経営情報をリアルタイムに見える化することで、様々な企業様のデータドリブン経営に寄与しております。

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この記事を書いた人

マルチブック編集部

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