海運業界導入事例|船舶貸渡事業

海外SPCの会計管理業務が1/3に
多通貨対応のグローバルクラウドERP「multibook」で船舶20隻の一元管理を実現

多様な会計管理形態の海外SPCも一元管理!海運業界の決算業務工数の大幅削減に成功したグローバルクラウドERP『multibook』の資料をダウンロードする>>

関西に拠点を置く船舶貸渡業を営む企業は、これまで、会計管理に関して専用のオンプレミスソフトウェアを利用してきましたが、システム更改のたびに多大な労苦がかかっていました。本社の会計システムに関してはクラウド移行に成功したことから、子会社である海外SPC※の管理についても移行を検討。多通貨対応と自社の取引ボリュームに応じた柔軟な価格プランでの利用可能なサービスを模索し続けた結果、multibookの採用を決断しました。導入の結果、バージョンアップや法改正のたびに多大な工数がかかるオンプレミス型の会計ソフトウェアから脱却できただけでなく、標準装備の多通貨機能や承認機能、各レポートのExcelダウンロード機能など充実した機能で日常業務および決算処理時の業務量が1/3にまで減少しました。

※特別目的会社のことで、ある特定の目的(例:不動産開発、資産の証券化、船舶の所有・運航など)だけのために設立された会社です。一般の会社のように様々な事業を行うのではなく、設立時に決められた特定の事業だけを行います。海運業界では、個々の船舶を所有するためのSPCを設立し、リスク分散や税制メリットを得るために活用されています。

導入前の課題

  • 従来利用していた会計ソフトウェアはオンプレミス型で、システム更改のたびに開発者とのやりとりや、開発作業そのものに多大な工数がかかっていた。
  • 親会社の会計システムはクラウド移行を果たしたものの、海外子会社分は要件対応したシステムが見つからず従来のまま残っていた。
  • SPCの会計管理においては船舶を一つの会社のように扱うが、伝票数が極端に少ない船舶もあり、一般的な製品/サービスの価格体系では割高だった。

multibookを選んだ理由

  • 標準機能として基軸通貨である円やドルだけでなく、タイバーツなどの多通貨にも対応していた。
  • 船舶SPC管理という業態に適した、柔軟な価格体系で利用できるSaaS型クラウドサービスだった。
  • データをクラウドに保存でき、複数人での同時閲覧が可能だった。

導入後の効果

  • オンプレミス型の会計ソフトウェアから脱却でき、システムのバージョンアップや改修作業などの自社への負担がなくなった。
  • わかりやすい画面と自動通貨換算機能や承認機能といった便利な機能により、日常時、決算処理時の作業量が1/3に減少し、引き継ぎも容易になった。
  • 同じデータを複数人で同時に閲覧できるようになったことで、業務の効率化が進んだ。

日本でいち早く海外スキームを確立した船舶貸渡事業の第一人者

―― 船舶貸渡事業の内容を教えてください。

海外の船舶の運行を委託する事業を展開しています。具体的なビジネススキームとしては、リベリア、パナマなどにSPC(Special Purpose Company)と呼ばれる子会社を設立し、この子会社が傘下に自社船を持ち、船舶を一つの会社のように捉えて会計管理を行います。たとえば、リベリアに4隻の船舶があれば、当社からするとリベリアに孫会社が4社あるということになります。現在、当社ではこのような船舶を複数隻所有しています。船舶は海運会社に貸し出すことになりますが、その形態はさまざまです。単純に船を貸すだけの場合もあれば、運行前の手配をこちらで整えて船員も手配するという場合もあります。そのため、会計管理の内容は船舶(会社)によって大きく異なります。

子会社 海外SPCの会計管理をクラウドへ移行するため、multibookを導入

―― 今回、海外SPCの会計管理目的でmultibookをご導入いただきました。どのような課題を解決されたかったのでしょうか。

管理部次長:当社も、海外SPCも、従来は、当社が個人のエンジニアに依頼して開発してもらったオンプレミス型の会計ソフトウェアを利用していました。長年使い続けていたのですが、経年使用でストレージに空きがなくなってきたり、法令が変わって対応が求められるたびに大規模なシステム更改が必要で、そこに大きな労力がかかっていました。将来の見通しが立ちにくく、何とかこの状態から脱却しようと、本社の会計管理に関してはSaaSを採用し、クラウド移行を果たしました。使ってみると非常に利便性が高かったため、海外SPCについてもSaaS型のクラウドシステムへ移行を進めることにしました。

管理部担当者:システム選定の際に問題になったのは通貨でした。SPC管理では円やドルだけでなくタイバーツなど多通貨を使用するため、「会計ソフト 多通貨対応」などのキーワードで検索したのですが、そもそも多通貨を扱えるSaaSがなかなか見当たらず、あってもオプション扱いで利用料が高額になりがちでした。また、管理対象となる船舶(会社)の中には、発生する費用がリース料のみで月に伝票が数枚というものもあります。一般的なSaaSのライセンス体系ではこれも一社分とカウントされてしまい、利用料を押し上げるもう一つの原因となりました。

―― multibookを選んでいただいた決め手は何でしたか。

管理部次長:まず最大のポイントだったのが、多通貨対応が標準機能として利用できることです。

また、当社の船舶(会社)管理を十分に理解いただき、非常に柔軟な発想で提案をしてくれました。2~3回オンライン会議の場を持ちましたが、こちらから投げたいくつかの細かい質問にも丁寧な回答が返ってきて、よい感触を持ちました。multibookの画面を使って説明していただいた点も、理解しやすく助かりました。画面が見やすいことも理解でき、操作しながら疑問に答えていただけたので納得感がありました。さらに、データをクラウド保存できて複数人で同時閲覧できる点もよかったです。税理士にも必要なタイミングですぐに共有できるため、スムーズなやり取りが可能になると感じました。

さらに、伝票の承認機能もあり、申請者が仮伝票を作成して承認者が承認したら伝票が登録されるという仕組みを取れました。これまではシステムに登録した伝票を一度出力して、部内で回覧していましたが、それに比べ、業務時間の短縮になります。

管理部担当者:私は勘定科目を数多く設定できる点がいいと思いました。船舶(会社)の中には、細かい船費の内訳などで300科目ほど必要になるものもあるのですが、multibookは十分に管理できます。

試算表や元帳をExcel形式で出力できるというのも魅力的でした。いったんCSVを仲介させる方法だと、時間もかかりますし、スキルも求められます。ミスはないか確認したり、決算資料を作成する際に、注記したり、重要箇所をハイライトする作業はExcelが一番効率的に実施でき、これを簡単に利用できるのは助かると思いました。毎月評価替えする為替レートを登録し、ボタン一つで各伝票に適用できる機能も便利です。これまではそのときの為替レートで都度手計算していたので、これも時短につながると期待しました。

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―― 導入の際に苦労した点はありましたか。

管理部担当者:限られた予算の中で最適なシステムを導入したいと考え、multibookを選びました。2023年9月より、勘定項目の多い船舶(会社)からデータ登録を始めたのですが、期中だったため、B/S(Balance Sheet、貸借対照表)のみならず、P/L(Profit and Loss Statement、損益計算書)の内容も含める必要がありました。

最初は操作に慣れていなかったため、データ移行時にはいくつか課題に直面しました。その際、まずはマニュアルを参照し、それでも不明な点がある場合はマルチブック社のサポート担当者に質問するという形で進めました。何度も質問をしましたが、そのたびに迅速な回答をいただき、サポートの手厚さを実感しました。

そのおかげで、徐々にデータ入力に慣れ、最終的に12月には完全にデータ移行を完了することができました。multibookは導入しやすいシステムですが、最初の段階では不安や疑問もありました。そのため、いつでも質問できる環境があったことは非常に心強く、スムーズな移行に大きく貢献しました。

平常/決算処理時の業務量が1/3に減少

―― ご利用を開始されたのは2023年12月からですね。現時点でどのような効果を実感されていますか。

管理部次長:10月から従来の会計ソフトと並行稼働を開始し、それを12月いっぱいまで続けました。2024年1月からはmultibook1本に絞って運用しています。これで、海外SPCの会計管理についてもオンプレミス型システムの保守・運用負担から解放され、クラウド移行を果たすことができました。そして、会計業務の効率化が大きく進みました。

管理部担当者:平常時も、決算処理時も、業務量は以前に比べて1/3ぐらいになったと思います。何より画面の構成がわかりやすく、データも省略されることなく画面の中ですべて見られるため簡単に確認できます。multibookはクラウドシステムでありながら、データの読み込みや処理速度に遅延がなく、欲しい情報がすぐに取得できるようになったため社内のディスカッションも活発になりました。転記なども容易ですし、あらゆる作業がすごく楽になりました。さらに、シンプルで直感的に操作できるため、業務の属人化を防ぎやすく、今後の引き継ぎも円滑に進められると感じています。

―― 今後の展望をお聞かせください。

管理部次長:今でも十分に利便性を感じていますが、まだまだ使い切れていない気もします。今後は、キャッシュフロー計算書を出力する機能に挑戦してみたいです。

今回、船舶を会社として管理する海外SPCという特別な状況で、また、その会社ごとに管理の状況がまったく異なるという中で、真摯かつ柔軟に対応してくれたマルチブック社はいい会社だなと心から思っています。初期の打合せで実機デモを見たときは、やっと出会えたという気持ちになりました。セルフインプリメントも無謀だったかと思うぐらい当初は大変さがありましたが、何度やりとりしても気持ちよく答えてくれて、あのサポートがあったから最後までたどりつけたと思っています。導入後も継続的なサポートがあり、定期的なミーティングで状況を確認してくれるのもありがたいです。これからもmultibookを信頼して活用を深めていきたいと思っています。

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